肩をすくめるアトラス(Atlas Shrugged)・アイン・ランド(著)

「肩をすくめるアトラス」(1957年)は、アイン・ランドのフィクション作品の中でも最高傑作です。
この本は、聖書についでアメリカ人が「人生でもっとも影響をうけた本」と言われており、現在でも年間15万部は売れているというロングセラー作品です。サイエンス・フィクション・ミステリ・恋愛小説の要素も含んでおりますが、ビジネス・経済・思想・哲学本です。

ビジネス社・ 肩をすくめるアトラス

あらすじ

時代は不明ですが、ディストピア的なアメリカ合衆国が舞台です。
曾祖父が創業したタッガート大陸横断鉄道の、業務取締役副社長(主人公のダグニー・タッガート)は、会社を集産主義や国家統制主義から守ろうと奮闘する。 だが、経済が悪化し、成功している企業に対する政府の統制が強まるにつれて 巷では、「ジョン・ゴールトって誰?(Who is John Galt?)」という決まり文句がはやり始め、トップレベルの創造性を持つ実業家、科学者、芸術家の失踪が続く。政治家たちは、失踪した実業家、科学者、芸術家たちを必死で捜索したが見つからず、最後はトップレベルの創造性を持つ実業家、科学者、芸術家たちは全ていなくなり、ニューヨーク市から電気が失われる(残った人々で維持することが出来なくなり機能が停止) 。
(トップレベルの創造性を持つ実業家、科学者、芸術家たちはと言うと、生きていますがあまり書くと折角の読書の楽しみが失われますので、是非 実業家、科学者、芸術家 たちの行方は、本をご覧ください)

タイトルの「アトラス」の意味

「アトラス」とは、ギリシア神話に登場する天空を肩に乗せて支える巨人アトラースです。
ティーターン神族がゼウス達との戦いに敗れ、アトラースはゼウスから、世界の西の果てで天空を背負うという役目を負わされる事なります。アトラスの意味は、「支える者」・「耐える者」・「歯向かう者」(インド・ヨーロッパ語族に由来) このアトラスの意味を踏まえて読まれると、より理解が深まると思います。

アイン・ランド

ロシア系アメリカ人の小説家・思想家・劇作家・映画脚本家(1905–1982)本作品の主題であるランドのオブジェクティビズム(客観主義)が書かれている部分あり、そこの部分も見どころです。(著者のその他の作品:われら生きるもの・水源・利己主義という気概・アンセムetc・・)

アトランティス出版から改訳文庫版で全3巻も今は発売されていますが、それまではビジネス社から出版されている1冊(1270ページ)に収められていましたので本自体が重くてなかなか読むのも苦労しました。これから読まれる方は、文庫版の方が良いかと思います。ただ、ストーリ―だけは引き込まれるほど面白い作品なので本の重ささえ気にならない場合は、単行本でも良いかと思います。

アイン・ランド作品を読む上で参考させて頂いたサイト
日本アイン・ランド協会
藤森かよこの日本アイン・ランド研究会
( アイン・ランド 作品を読む上で理解を深めることが出来ました、有難う御座いました)

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